第179章

山田澪は手を下げ、車の窓に寄りかかって、外の庭園に咲く花々や植物を眺めていた。

なんて滑稽なことだろう。北村健と夏目彩がデートするのに、自分を連れてくるなんて。

車に閉じ込められて、彼の車番をする犬でも務めろということか?

確かに少し似ているかも......

山田澪は口元を歪め、自嘲気味に笑ったが、涙は思わず頬を伝い落ちていった。

二十年間信じ続けてきた人が、自分を一匹の犬のように扱う。

滑稽で、哀れな話だ。

夏目彩は北村健の腕に手を絡ませ、彼のポケットに手を忍ばせた。「寒すぎる。どうしてこんなに遅く来たの?」

「なんでもっと着ないんだ?」北村健は彼女の服装を一瞥した。厳しい...

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